TOP私たちの診療Tips
私たちの診療Tips
当科の診療からの学びをおすそ分けします。適宜更新しますので、お役に⽴てたら嬉しいです!
なお、紹介したエビデンスは⾃分の患者さんに当てはまるかは検討が必要ですのでご注意を。
膵炎
・Groove膵炎は十二指腸下行脚と膵頭部/総胆管の間の溝(groove)に起こる膵炎.急性~慢性の経過をたどる.アミラーゼが上がらないことが多く(!),画像的に診断されることが多い(Am J Roentgenol. 2013 ;201(1):W29-39.)
・急性膵炎は,稀だが血管系の疾患による虚血でも起こる.大動脈解離(日消誌 2011;108:103),心臓カテーテル検査などによるコレステロール塞栓(Arch Intern Med. 1994 ;154:1755),血管炎(Semin Arthritis Rheum. 1989;19:158)などが報告されている
胆嚢捻転症
・胆嚢捻転症は高齢女性のイメージがあるが,実は10代までの若年男性も隠れた好発年齢である.(J Hepatobiliary Pancreat Surg.1999;6:418)
・高齢女性が内臓脂肪の減少による胆嚢の支持が少なくなることで発症するのに対して,若年では先天性の遊走胆嚢が原因になる(日外会誌 2020;121:517)
TAFRO症候群
・TAFRO症候群で血小板減少がない患者が約5%いる(Annals of Hematology 2018;97:401)
アニサキス症
・小腸アニサキスは限局的ま腸重積が有名だが,より広い範囲の小腸の浮腫・拡張を起こしイレウスの原因になる(Case Rep Infect Dis 2013;2013:401937. PMID: 2445534)
RS3PE症候群
・RS3PEは悪性腫瘍合併例が20%,後から腫瘍が見つかる例ではRS3PEと診断されてから2年以内に腫瘍が見つかることが多い.(Curr Rheumatol Rep 2015;17:49)
・報告数は少ないが,悪性リンパ腫,白血病,MDSなどでもRS3PE症候群になる(Eur J Gen Med 2004;1:3)
- 5.疾患別Tips E_免疫/アレルギー/膠原病 RS3PE
- 2023.11.07
SLE
・ループス腸炎はSLEの初発症状のこともある.20~30歳代女性で持続する,または再発する腹痛・下痢で鑑別に挙げる.CTでの腸管浮腫,腹水,多発するターゲットサイン(浮腫で壁肥厚した腸管の断面が的のように見える),combサイン(腸間膜動脈の拡張で血管影が目立つ.ほとんどが上腸間膜動脈),腸管拡張が特徴.(日本医事新報.2018, No 4894, 42)
- 5.疾患別Tips E_免疫/アレルギー/膠原病 SLE
- 2023.10.26
黄疸
・眼球黄染を見たとき,黄疸では角膜付近まで黄色がかるのに対して,無害な黄色調の結膜下の脂肪沈着では角膜周囲は白いままである.また柑皮症では手掌,足底などの皮膚が黄色になるが,結膜は黄染しない(EVIDENCE BASED PHYSICAL DIAGNOSIS, 3RD EDITION. Steven McGee, ELSEVIER. 2012)
消化性潰瘍
・十二指腸潰瘍の典型的な痛みは食後2~5時間と,胃酸分泌の概日パターンが最大になる夜間(午後11時頃から午前2時頃)に起こりやすい(UpToDate> Peptic ulcer disease: Clinical manifestations and diagnosis. 2023/9/25閲覧)
大腿骨頸部骨折
初回XPで転位のないオカルト大腿骨頸部骨折に対して,聴性打診陽性(患側の膝蓋骨を打診したときに恥骨結合に置いた聴診器に打診音が伝わらない)はSn 96, Sp 86%, LR+ 6.86, LR- 0.05(原著ではLR- 0.75と計算間違えあり)(Singapore Med J. 2002 ;43:467-9)
- 5.疾患別Tips M_整形外科/皮膚科 大腿骨頸部骨折
- 2023.09.25
てんかん
■診断
・PRLが基準値の2倍に上昇することはてんかんの診断に有用かもしれない. (Neurology2005;65:668)
・全般性の痙攣発作では原則的に開眼する.閉眼している場合には他の疾患(心因性非てんかん発作や,失神の持続時間の聴取間違えなど)を考える(問診力で見逃さない神経症状.医学書院 2019)
・てんかんに対しての痙攣頓挫後の脳波の感度は,痙攣から時間が経過するにつれて落ちる.24時間以内の場合は62%,25~48時間の場合は51%,49~72時間の場合は40%,72 時間を超えると 31 %だった(J Clin Neurophysiol. 2017 ;34(5):434-437)
■腹部てんかん
典型例は鋭い,疝痛様の痛み.
場所は臍周囲,上腹部(心窩部,右上腹部)が多い.
持続時間は数分以内が多いが1時間以上続くことも報告がある.
随伴症状は嘔気,下痢などの他の症状を伴うこともある.
発作後の倦怠感/疲労感,眠気は1/3程度,ちょっとした意識障害が6割,意識障害や痙攣発作は3割,頭痛は1割強.
毎回同じ症状とは限らない.
脳波は発作間欠期にも異常があることが多いが,特異的ではない.
鑑別診断は同じように発作的な腹痛をきたす,ポルフィリン症,家族性地中海熱,周期性嘔吐症,腹部片頭痛.
腹部片頭痛は臍周囲か局在の伴わない漠然とした鈍い痛みで,1時間以上,1-2日続く点で鑑別.
治療は抗てんかん薬
(Best Pract Res Clin Gastroenterol. 2005 Apr;19(2):263-74)
- EBMを実践したい方
- 「患者全体を診る」診療医師を目指している方
- 総合診療科が確立している体制の上で医師として活躍したい方
- 病院総合診療医を目指している方
- 家庭医として地域で活躍したい方
- 離島やへき地の診療所で活躍したい方