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私たちの診療Tips
当科の診療からの学びをおすそ分けします。適宜更新しますので、お役に⽴てたら嬉しいです!
なお、紹介したエビデンスは⾃分の患者さんに当てはまるかは検討が必要ですのでご注意を。
帯状疱疹
・痛みなどの神経症状が出てから皮疹が出現するまで,数週間かかることもある(N Engl J Med. 1996;335:32. )
・治療として72時間以内の抗ウィルス薬で皮疹の消退を早めたり,神経痛の期間の短縮が報告されており,72時間以内の投与が勧められているが,72時間以降の投与に関しては臨床試験がないため効くのか効かないのかわからない.
・帯状疱疹の合併症で,該当神経節部位の神経根障害や末梢神経障害による運動麻痺が起こることがある(Segmental zoster paresis (SZP) ).帯状疱疹の3%と報告されていて,75%は1-2年かけて緩徐に回復する(Electromyogr Clin Neurophysiol. 1996 ;36:369)
- 5.疾患別Tips M_整形外科/皮膚科 帯状疱疹
- 2025.01.30
2型糖尿病
■薬剤
・GLP-1作動薬はコントロールに対して甲状腺癌が HR 1.52(95%CI 1.01-2.29)に増えるかもしれない.ただしメタアナリシスでの合わせた発症率はGLP-1作動薬群で0.16%,コントロール群で0.08%と少なく,今後の研究次第では有意差がなくなる可能性がある(Diabetes Obes Metab. 2024;26:891)
■その他
・HbA1cは成人重症低血糖の予測にはあまり有用ではないかもしれない. (Diabetes Care2013;36:3535-42)
・高齢の糖尿病罹患者が筋トレを行うことはADL,QOL,インスリン抵抗性,血糖に対して良い影響があるかもしれない. (Diabetes care 2013:36:2372)
・糖尿病患者に野菜から食べるように生活指導を行うとHbA1c が下がるかもしれない. (日本栄養士会雑誌 2010;53:16)
・糖尿病患者が癌を合併すると死亡率が上昇する. 死亡率の上昇率は癌の種類によって異なる. 直腸癌, 子宮内膜癌, 乳癌は死亡率を有意に上げる. 胃癌は有意差がない. 肺癌は有意に死亡率を下げる. (JAMA. 2008 Dec 17;300(23):2754-64.)
・成人ではDKAでHCO3<15,またはpH<7.3未満の代謝性アシドーシスがあっても代償性のクスマウル呼吸は14%にしか見られない(Cureus. 2020 ;12:e10792)
- C_内分泌代謝/栄養 糖尿病
- 2025.01.30
結核
・髄液ADA上昇(9~10U/L以上)のとき,結核性髄膜炎に対してSn 79%, Sp 91% LR+ 8.8, LR- 0.2 ( Int J Tuberc Lung Dis. 2010 ;14(11):1382-7 )
・結核性胸膜炎は未治療では5年以内に40-60%が肺結核になる(Curr Opin Pulm Med. 2010;16:399)
・重症肺炎や敗血症性ショックとして導入されたステロイドが結核でも循環・呼吸状態や浸潤影が改善することがある.ただしステロイドを終了すると再度症状が出現する(Am J Med. 2007 ;120:e7)
システマティックレビュー・メタアナリシス
システマティックレビュー・メタアナリシスの批判的吟味のポイントをキャラクター収集をテーマに解説しました
- 1.EBM G_STEP3 批判的吟味 システマティックレビュー・メタアナリシス
- 2025.01.22
膀胱炎
・気腫性膀胱炎の稀な合併症で気腹症が起こることがある.機序は不明.
(Cureus. 2023 ;15:e43769)
コリン性蕁麻疹
・コリン性蕁麻疹の約半数は皮疹が出現せず,疼痛のみの場合がある(志水太郎先生編集.悩める”痛み”のケーススタディ.診断と治療社.2024年)
- 5.疾患別Tips E_免疫/アレルギー/膠原病 コリン性蕁麻疹
- 2025.01.09
耳介関連痛
・耳介関連痛(Referred otalgia)
耳が原因以外の耳介の痛み.耳介関連痛は歯科および口腔粘膜病変、顎関節障害、頸椎病変、副鼻腔炎、上気道感染症、胃酸の咽頭への逆流、頭頸部悪性腫瘍などが原因になる(Can Fam Physician. 2023 ;69:757-761.).
- 5.疾患別Tips N_眼科/耳鼻咽喉科 耳介関連痛
- 2025.01.09
EBM診断編
EBMの診断の過程は,証拠を集めながら可能性を上げ下げしていくという点で犯人探しに似ています.
その例えで作ってみました
アレルギー系
・漢方薬はDLSTで偽陽性になりやすい(Yakugaku Zasshi. 2002 ;122:399)
- 5.疾患別Tips E_免疫/アレルギー/膠原病 アレルギー系
- 2024.12.24
炎症性腸疾患
・有症状の炎症性腸疾患に対しての便中カルプロテクチン上昇はSn 0.88, Sp 0.73, LR+ 3.3, LR- 0.2,便中ラクトフェリン上昇はSn 0.82, Sp 0.79, LR+ 3.9, LR- 0.2 ( Am J Gastroenterol. 2015 ;110:802)
- EBMを実践したい方
- 「患者全体を診る」診療医師を目指している方
- 総合診療科が確立している体制の上で医師として活躍したい方
- 病院総合診療医を目指している方
- 家庭医として地域で活躍したい方
- 離島やへき地の診療所で活躍したい方