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私たちの診療Tips
当科の診療からの学びをおすそ分けします。適宜更新しますので、お役に⽴てたら嬉しいです!
なお、紹介したエビデンスは⾃分の患者さんに当てはまるかは検討が必要ですのでご注意を。
黄疸
・眼球黄染を見たとき,黄疸では角膜付近まで黄色がかるのに対して,無害な黄色調の結膜下の脂肪沈着では角膜周囲は白いままである.また柑皮症では手掌,足底などの皮膚が黄色になるが,結膜は黄染しない(EVIDENCE BASED PHYSICAL DIAGNOSIS, 3RD EDITION. Steven McGee, ELSEVIER. 2012)
消化性潰瘍
・十二指腸潰瘍の典型的な痛みは食後2~5時間と,胃酸分泌の概日パターンが最大になる夜間(午後11時頃から午前2時頃)に起こりやすい(UpToDate> Peptic ulcer disease: Clinical manifestations and diagnosis. 2023/9/25閲覧)
大腿骨頸部骨折
初回XPで転位のないオカルト大腿骨頸部骨折に対して,聴性打診陽性(患側の膝蓋骨を打診したときに恥骨結合に置いた聴診器に打診音が伝わらない)はSn 96, Sp 86%, LR+ 6.86, LR- 0.05(原著ではLR- 0.75と計算間違えあり)(Singapore Med J. 2002 ;43:467-9)
- 5.疾患別Tips M_整形外科/皮膚科 大腿骨頸部骨折
- 2023.09.25
てんかん
■診断
・PRLが基準値の2倍に上昇することはてんかんの診断に有用かもしれない. (Neurology2005;65:668)
・全般性の痙攣発作では原則的に開眼する.閉眼している場合には他の疾患(心因性非てんかん発作や,失神の持続時間の聴取間違えなど)を考える(問診力で見逃さない神経症状.医学書院 2019)
・てんかんに対しての痙攣頓挫後の脳波の感度は,痙攣から時間が経過するにつれて落ちる.24時間以内の場合は62%,25~48時間の場合は51%,49~72時間の場合は40%,72 時間を超えると 31 %だった(J Clin Neurophysiol. 2017 ;34(5):434-437)
■腹部てんかん
典型例は鋭い,疝痛様の痛み.
場所は臍周囲,上腹部(心窩部,右上腹部)が多い.
持続時間は数分以内が多いが1時間以上続くことも報告がある.
随伴症状は嘔気,下痢などの他の症状を伴うこともある.
発作後の倦怠感/疲労感,眠気は1/3程度,ちょっとした意識障害が6割,意識障害や痙攣発作は3割,頭痛は1割強.
毎回同じ症状とは限らない.
脳波は発作間欠期にも異常があることが多いが,特異的ではない.
鑑別診断は同じように発作的な腹痛をきたす,ポルフィリン症,家族性地中海熱,周期性嘔吐症,腹部片頭痛.
腹部片頭痛は臍周囲か局在の伴わない漠然とした鈍い痛みで,1時間以上,1-2日続く点で鑑別.
治療は抗てんかん薬
(Best Pract Res Clin Gastroenterol. 2005 Apr;19(2):263-74)
消化管出血
・黒色便
鉄剤内服中も黒色便になるが,ガーゼに便を薄く伸ばしたときには緑色になるのが特徴.
鉄剤の黒色は濃い緑が黒く見えているので,その方法で出血なのか鉄剤なのかを推定できる(消化器内科医からの金言)
びまん性レビー小体型認知症
・びまん性レビー小体型認知症のパーキンソニズムは幻視や認知症の後から出現することが多い.(Continuum (Minneap Minn). 2016;22(2 Dementia):435-63.)
- 5.疾患別Tips I_神経/精神 びまん性レビー小体型認知症
- 2023.08.16
赤芽球癆
・腎性貧血に用いられるエリスロポエチン製剤で薬剤性の赤芽球癆が起こることがある.エリスロポエチンへの中和抗体にによるもの.( N Engl J Med. 2002 14;346:469-75)
びまん性特発性骨増殖症(DISH)
・DISHの稀な合併症として嗄声があり,原因として喉頭の機械的閉塞だけでなく、後輪状突起の炎症による声門の可動性の低下や,骨棘の圧迫による反回神経麻痺がある( J Laryngol Otol. 2000 Feb;114(2):154-7)
- 5.疾患別Tips M_整形外科/皮膚科 びまん性特発性骨増殖症(DISH)
- 2023.07.31
糸球体腎炎
・ブドウ球菌関連糸球体腎炎
高齢者では溶連菌感染後糸球体腎炎よりも黄色ブドウ球菌による糸球体腎炎の頻度の方が高い.
溶連菌では感染から糸球体腎炎発症までタイムラグがあるが,黄色ブドウ球菌による糸球体腎炎では感染中から糸球体腎炎を併発することが多い(J Am Soc Nephrol. 2011 Jan;22(1):187-95)
リウマチ性多発筋痛症[PMR]
■診断
・PMRでは白血球と血小板は通常基準値内(UpToDate>Clinical manifestations and diagnosis of polymyalgia rheumatica. 2023/7月閲覧)
・PMRとCrowned dense 症候群の鑑別は腰まわりの症状があればPMR,NSAIDsが著効すればCrowned dense症候群がより疑われる. (Rheumatology (2004) 43 (12): 1508-1512.)
- E_免疫/アレルギー/膠原病 リウマチ性多発筋痛症
- 2023.07.25
- EBMを実践したい方
- 「患者全体を診る」診療医師を目指している方
- 総合診療科が確立している体制の上で医師として活躍したい方
- 病院総合診療医を目指している方
- 家庭医として地域で活躍したい方
- 離島やへき地の診療所で活躍したい方