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私たちの診療Tips

当科の診療からの学びをおすそ分けします。適宜更新しますので、お役に⽴てたら嬉しいです!
なお、紹介したエビデンスは⾃分の患者さんに当てはまるかは検討が必要ですのでご注意を。

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髄膜炎

・髄液ADA上昇(9~10U/L以上)のとき,結核性髄膜炎に対してSn 79%, Sp 91% LR+ 8.8, LR- 0.2( Int J Tuberc Lung Dis. 2010 ;14(11):1382-7 )

結核

・髄液ADA上昇(9~10U/L以上)のとき,結核性髄膜炎に対してSn 79%, Sp 91% LR+ 8.8, LR- 0.2 ( Int J Tuberc Lung Dis. 2010 ;14(11):1382-7 )

感染症

■左方移動の検査性能

・ICU患者で,桿状核球が10%以上だと,培養陽性になる感染症に対して,Sn 43%, Sp 92%, LR+ 5.52, LR- 0.62(J Intensive Care Med. 2010 ;25:353-7)
・ICU患者で,桿状核球が10%以上,かつWBC 12000/μl以上だと,培養陽性になる感染症に対して,Sn 26%, Sp 97%, LR+ 8.99, LR- 0.76(J Intensive Care Med. 2010 ;25:353-7)
・70歳以上の救急外来で,桿状核球が10%以上だと,培養陽性になる感染症に対して,Sn 24%, Sp 98%, LR+ 12.0, LR- 0.78(Clin Lab Med. 2002;22:101-36.)

 

誤嚥性肺炎

■診断

・EAT10は嚥下障害のスクリーニングツールとして, COPD患者の将来の誤嚥性肺炎を予測できるかもしれない. (カットオフを9点とするLR 4/0.11 )(Dysphagia 2017;32:714)

■治療

・ACE-I,半夏厚朴湯(特に変性疾患において嚥下反射時間の改善),アマンタジン(嚥下反射の改善),プレタール(脳梗塞の二次予防),ガスモチン(逆流防止)で不顕性誤嚥の予防できるかもしれない.(老年医学会雑誌2013;50:458.)
・脳梗塞後のNGtubeからの栄養患者ではメトクロプラミドがプラセボと比べ,21日間の肺炎を0.27回 vs. 1.33回で有意に減らす.誤嚥自体のエピソードも 0.03回 vs. 0.73回に減らす.錐体外路系の副作用は差がなかったが,そもそも21日間の短期間投与なので長期の副作用は不明( Stroke 2015 Feb;46(2):454).
・脳梗塞後の胃ろう患者ではモサプリドがプラセボと比べ,1年での肺炎を47% vs. 81%で有意に減らす.死亡率も74% vs. 41%で有意に減らす.(  J Am Geriatr Soc 2007 Jan;55(1):142).
・脳梗塞後の患者でアマンタジン100mgはプラセボと比べ,肺炎を28%から6%に減少させた(Lancet. 1999 ;353:1157.)

・脳梗塞後のADLが比較的保たれている高血圧患者で,ACEIはCCBや利尿薬と比べ35ヶ月間で肺炎が少なかった(2.8% vs 8.8% vs 8.3%).高血圧がない脳梗塞患者をコントロールとしてもACEIはHR 0.3(0.14-0.66)に減らした(Neurology. 2005 ;64:573).

・脳梗塞後の患者でシロスタゾールはプラセボと比べ,3.3年間で肺炎を 2.86%から0.57%に減らした(Cerebrovasc Dis. 2006;22:57)

■その他

・誤嚥性肺炎で絶食することは入院期間を長くするかもしれない. (Clinical Nutrition2016; 35;1147)

 

菌血症

・免疫不全ではない成人の入院患者において感染症を疑い血液培養を採取するとき、採取直前の食事の摂取量(看護師記録)が80%以上であることは、菌血症の存在に対して感度93.7%、特異度34.6%、陽性尤度比1.43、陰性尤度比0.18であり、菌血症のrule outに有用である。
・また同様の状況において、医師により悪寒戦慄があったことが確認されることは、菌血症の存在に対して感度23.5%、特異度95.1%、陽性尤度比4.78、陰性尤度比0.8であり、菌血症のrule inに有用である。
(J Hosp Med. 2017 Jul;12(7):510-515.)

 

・免疫不全でないこれから入院する成人患者において感染症を疑い血液培養を採取するとき、採取前24時間の食事の摂取量(患者あるいは家族、介護者による申告)が80%以上であることは、菌血症の存在に対して感度84.4%、特異度19.8%、陽性尤度比1.05、陰性尤度比0.79であり、菌血症のrule outに有用ではない。
(BMJ Open. 2021 May 27;11(5):e044270.)

 

・MRSA菌血症患者に対して抗MRSA薬+βラクタム系併用は,抗MRSA薬単剤と比べてAKIが有意に増える.安全性から早期中止したので効果は不明(JAMA. 2020 Feb 11;323(6):527-537)

 

・K. pneumoniaeが血液培養で検出された際,string test(培地からコロニーを爪楊枝で引っ張る)で陽性(コロニーが5mm以上糸を引く)だと肝膿瘍,髄膜炎などの侵襲性クレブシエラ感染症になりやすい(J Intern Med. 2006;259:606. )

 

・敗血症患者では解熱剤使用で28日死亡率が上昇するかもしれない(NSAIDs OR 2.61,アセトアミノフェン OR 2.05),非敗血症では死亡率は上がらない(Critical Care 2012;16:R33)

化膿性脊椎炎

・血液培養陽性率は30-78%(Semin Arthritis Rheum.2009;39:10)

腸球菌菌血症の治療

単一の血液培養で腸球菌が検出された状況では,敗血症の臨床的証拠がない場合や,多菌種感染症でより毒性の高い微生物を狙った抗菌薬治療で改善している患者の場合には,腸球菌菌血症に対する治療は延期してもよい.(Rev Infect Dis.1989;11:74. Rev Infect Dis.1991;13:600.)

血管内カテーテルが菌血症の原因である可能性が高い状況では,カテーテルの除去だけで感染を治すことができる.ただし,発熱がある場合は,腸球菌の検出後,追加の血液培養を行い結果を待つ間,経験的に抗菌薬投与を開始する必要がある.このような治療は,症状が軽快し弁の異常が見られない(IE所見がない)場合,通常5〜7日後に中止できる.
E.facalis以外の腸球菌性細菌血症のほとんどの症例は心内膜炎とは関連しない.E.facalis菌血症の患者における心内膜炎の相対リスクは高いが,それでも比較的低い.(Infection.2004;32:72.)

化膿性関節炎に対する関節液の診断特性

・白血球数(WBC)>50000/ μLで化膿性関節炎を示唆するが,結晶性関節炎を除外することはできない.多核球分画> 90%は敗血症性関節炎の可能性の増加と関連している可能性がある.
・グラム染色は成人症例の約50%〜67%で陽性.グラム染色陰性は敗血症性関節炎を除外しない.
・関節液培養はグラム染色との組み合わせにより患者の67%で原因菌を特定しうる.非淋菌感染症の患者の90%,淋菌感染症の患者の25%〜70%,結核菌感染患者の80%で関節液培養は陽性になる.
Lancet. 2010;375:846.

 

白血球数<25000  LR 0.32 (95% CI 0.23-0.43)
白血球数≧25000  LR 2.9 (95% CI 2.5-3.4)
白血球数>50000  LR 7.7 (95% CI 5.7-11.0)
白血球数>100000  LR 28.0 (95% CI, 12.0-66.0)
多核球分画>90% LR 3.4 (95% CI 2.8-4.2)
多核球分画<90% LR 0.34 (95% CI 0.25-0.47)
JAMA. 2007;297:1478.

細菌性肺炎

■診断

・白血球の左方移動はbandが20%以上のとき,感染症の診断に対してLR 2.5/0.6である. (Am J Clin Pathol. 1997 May;107(5):582-91.)
・非定型肺炎鑑別
1.60歳未満
2.基礎疾患がない、あるいは軽微。
3.頑固な咳
4.胸部聴診上所見が乏しい
5.痰がない。あるいは、迅速診断法で原因菌が証明されない。
6.WBC 10000未満

4/6項目合致⇒非定型性肺炎疑い。LR+ 11.0, LR- 0.25
3/6項目以下⇒細菌性肺炎疑い。

1~5項目では
3/5以上合致⇒非定型性肺炎疑い。LR+ 6.46, LR- 0.18
2/5項目以下⇒細菌性肺炎疑い。

(成人市中肺炎ガイドラインより)

 

・マイコプラズマ肺炎に対しての迅速抗原検査はPCR陽性を基準とするとSn 62.5%, Sp 90.9%, LR+ 6.9, LR- 0.41( J Infect Chemother 2015 Jun;21(6):473)と血清IgM Sn 35~ 77%,  Sp 49~100%(J Clin Microbiol 2005 May;43(5):2277)と比べ,性能は低いかもしれない.ただし,IgMが発症後数日経過しないと陽性にならないのに対し,抗原は発症時から陽性になる可能性がある.

 

・クラミジア肺炎の検査はC.pneumoniea IgAを用いる.多くの成人は再感染で,この場合にはIgMが上がりづらい(外来診療の型.鈴木慎吾著.2020)

 

■治療

・人工呼吸器管理や昇圧剤が必要な重症肺炎ではステロイドが死亡率を下げるかもしれない.院内死亡率はプラセボ 30% vs ステロイド 0%.その研究でのステロイド使用量はヒドロコルチゾン200mg iv後に240mg/日で持続投与を7日間だった.ただし,早期中止試験なのでrandom highの可能性あり.(Am J Respir Crit Care Med. 2005 Feb 1;171(3):242-8)

・ステロイドはその後の2015年のSRでも重症例では総死亡をRR 0.39(0.20-0.77)に減らした.非重症例では有意差なし.(Annals of Internal Medicine2015;163:519)

伝染性単核球症

■脾腫は伝染性単核球症の約50%に出現する.通常,疾患の3週目までに後退し始める.

■脾破裂は1000人当たり1~2件,発症から約14日後,4日~8週間の間に発症することが多い.

UpToDate>Infectious mononucleosis 2020/6閲覧

■発症後10~14日で無症状で経過している場合は,発症14日経過後に軽い運動は再開可能.(Sports Health. 2014; 6: 232.)

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