「マネジメント力のある医師に本物の地域医療を担ってほしい！」と言っても地域医療には偽物はありません。なぜなら、地域医療には、はっきりとした境界がないからです。定義が様々にされており、決まった形がないのです。沖縄の離島で一人診療所長をしていても、大学病院で勤務医をしていても、地域医療を担うことができます。医療者が、地域医療の視点を持っていれば、提供している医療は地域医療であると言えます。地域医療は常に本物です。しかし、その本物度には濃淡があります。地域度とでも表現すればわかりやすいでしょうか？地域度が濃い地域医療は、見えやすく感じやすい。つまり、学びやすいのです。

地域医療は、「医療者が地域住民(患者)と地域の政治(行政)と協力して、持てる資源を最大限の利用し作る」ものです。

資源の最大活用には、広い視点で行われる総合診療が必須です。当科が実践しているEBM（Evidence Based Medicine）は、診療の意思決定をサポートする総合診療医必帯武器です。
医療の現場には、本人・家族などのヒトの要素、金銭などの経済的要素、生活環境や医療者側の事情など様々な要素があります。疾病や治療法などの医学的な事柄はその中のたった一つであったりします。様々な要因を同時に取り扱うためには、マネジメント力が必要です。とりわけ総合診療医は、常に医学的要因と心理社会的要因のバランスを保つことが求められ、高いマネジメント力を求められます。地域度が濃い地域医療を実践することは、そのトレーニングとして最適と言えます。総合診療科では、EBMと地域研修におけるマネジメント力強化を通じて、将来「本物の地域医療を実践する総合診療医候補を募集します。