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当科の診療からの学びをおすそ分けします。適宜更新しますので、お役に⽴てたら嬉しいです!
なお、紹介したエビデンスは⾃分の患者さんに当てはまるかは検討が必要ですのでご注意を。

私たちの診療Tips > 5.疾患別Tips

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化膿性関節炎に対する関節液の診断特性

・白血球数(WBC)>50000/ μLで化膿性関節炎を示唆するが,結晶性関節炎を除外することはできない.多核球分画> 90%は敗血症性関節炎の可能性の増加と関連している可能性がある.
・グラム染色は成人症例の約50%〜67%で陽性.グラム染色陰性は敗血症性関節炎を除外しない.
・関節液培養はグラム染色との組み合わせにより患者の67%で原因菌を特定しうる.非淋菌感染症の患者の90%,淋菌感染症の患者の25%〜70%,結核菌感染患者の80%で関節液培養は陽性になる.
Lancet. 2010;375:846.

 

白血球数<25000  LR 0.32 (95% CI 0.23-0.43)
白血球数≧25000  LR 2.9 (95% CI 2.5-3.4)
白血球数>50000  LR 7.7 (95% CI 5.7-11.0)
白血球数>100000  LR 28.0 (95% CI, 12.0-66.0)
多核球分画>90% LR 3.4 (95% CI 2.8-4.2)
多核球分画<90% LR 0.34 (95% CI 0.25-0.47)
JAMA. 2007;297:1478.

成長ホルモン欠乏症

■成人では単独欠損は極めてレア

■症状は易疲労感、スタミナ低下、集中力低下、気力低下、うつ状態、性欲低下などの不定愁訴的な感じ
・身体所見として皮膚の乾燥と菲薄化、体毛の柔軟化、体脂肪(内臓脂肪)の増加、ウェスト/ヒップ比の増加、除脂肪体重の低下、骨量の低下、筋力低下などがある(難病情報センター>下垂体前葉機能低下症)

■検査の適応

・視床下部,下垂体の器質的疾患

・視床下部,下垂体の術後,放射線照射後

・頭部外傷後

・他の下垂体ホルモン異常合併

・小児期の成長ホルモン欠乏症の既往

(J Clin Endocrinol Metab. 2011 ;96:1587-609,UpToDate>Growth hormone deficiency in adults 2020/9月閲覧)

 

原発性アルドステロン症

・ACEI,ARBなどを内服中のレニン活性が1ng/ml/hour未満だと,原発性アルドステロン症を強く示唆する(UpToDate>Diagnosis of primary aldosteronism. 2020/9月閲覧)

腎盂腎炎

・カテーテル関連尿路感染症はLVFX250mg/dの予防投与で減る傾向だがプラセボと比べ有意差なかった(New Microbiol 2012;35:191)

血小板減少症

・薬剤性血小板減少症では被疑薬中止後1-2日以内に血小板が回復傾向になり,1週間で正常に戻る(UpToDate>Drug-induced immune thrombocytopenia.2020/5月閲覧)

・入院患者の血小板減少で多いのは薬剤性と感染症.ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の発症は1%程度.(Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2012;2012:191.)
・敗血症は重症患者の血小板減少の原因の約半数を占め,DICの有無に関連なく発症する.(Blood;128:3032.)

・HITを疑うときは4Tスコアを参考にする.カットオフ値を4点以上とした場合の感度0.99,特異度0.54,陽性尤度比2.15,陰性尤度比0.02.(Blood;120:4160)

・輸血後紫斑病

血小板減少が起こる1-2週間前に輸血されている場合は輸血後紫斑病の可能性がある.女性,妊婦で多い.RBC輸血によるものが最多.しかし,超絶レア.(UpToDate>Immunologic transfusion reactions. 2020/8月閲覧)

Bell麻痺

前頭筋への側枝を温存する範囲、つまり耳下腺の深い葉と浅い葉の間の顔面神経の部分的な病変は、顔面神経麻痺を引き起こすが、額のしわ寄せは可能

UpToDate:Bell’s palsy: Pathogenesis, clinical features, and diagnosis in adults > DIAGNOSIS > Peripheral versus central lesions

参照日:2020年8月6日

腎血管性高血圧

腎血管性高血圧症の診断

「腹部雑音が収縮期と拡張期の両方聴取」

感度(95% CI)  39(27-51)、特異度(95% CI) 99(98-100)

陽性尤度比 39、陰性尤度比 0.6

 

Ann Intern Med. 1979;91(4):617-622

心房性期外収縮

PACや上室性頻拍が頻発すると,その後心房細動を発症するリスクが高く,脳卒中の原因となる可能性がある(Stroke. 2007;38:2292.)
1日あたり100回以上PACが起きると,1日あたり100個未満のPACと比較して心房細動発症リスクが増加する(調整済みHR 2.97, 95%CI 1.85-4.8) (Am J Cardiol 2015;116:1852.)

大球性貧血

■診断

・重度のマクロサイトーシス ( MCV 110-115 fL ) はほとんど例外なく巨赤芽球性貧血と関連している.MCVが130fLを超える109人についての研究では,症例の90%以上がビタミンB12欠乏,葉酸欠乏か,薬剤性(HIV感染に対する抗レトロウイルス治療 ( ART療法 ),ヒドロキシウレア製剤 )であった.
(UpToDate > Macrocytosis/Macrocytic anemia > Evaluation > Clues from the CBC and blood smear (2020/03参照) )

・Vit. B12欠乏と診断された患者で貧血があったのは29%,MCV>100は36%しかいなかった(Mayo Clin Proc. 1994;69(2):144)

細菌性肺炎

■診断

・白血球の左方移動はbandが20%以上のとき,感染症の診断に対してLR 2.5/0.6である. (Am J Clin Pathol. 1997 May;107(5):582-91.)
・非定型肺炎鑑別
1.60歳未満
2.基礎疾患がない、あるいは軽微。
3.頑固な咳
4.胸部聴診上所見が乏しい
5.痰がない。あるいは、迅速診断法で原因菌が証明されない。
6.WBC 10000未満

4/6項目合致⇒非定型性肺炎疑い。LR+ 11.0, LR- 0.25
3/6項目以下⇒細菌性肺炎疑い。

1~5項目では
3/5以上合致⇒非定型性肺炎疑い。LR+ 6.46, LR- 0.18
2/5項目以下⇒細菌性肺炎疑い。

(成人市中肺炎ガイドラインより)

 

・マイコプラズマ肺炎に対しての迅速抗原検査はPCR陽性を基準とするとSn 62.5%, Sp 90.9%, LR+ 6.9, LR- 0.41( J Infect Chemother 2015 Jun;21(6):473)と血清IgM Sn 35~ 77%,  Sp 49~100%(J Clin Microbiol 2005 May;43(5):2277)と比べ,性能は低いかもしれない.ただし,IgMが発症後数日経過しないと陽性にならないのに対し,抗原は発症時から陽性になる可能性がある.

 

・クラミジア肺炎の検査はC.pneumoniea IgAを用いる.多くの成人は再感染で,この場合にはIgMが上がりづらい(外来診療の型.鈴木慎吾著.2020)

 

■治療

・人工呼吸器管理や昇圧剤が必要な重症肺炎ではステロイドが死亡率を下げるかもしれない.院内死亡率はプラセボ 30% vs ステロイド 0%.その研究でのステロイド使用量はヒドロコルチゾン200mg iv後に240mg/日で持続投与を7日間だった.ただし,早期中止試験なのでrandom highの可能性あり.(Am J Respir Crit Care Med. 2005 Feb 1;171(3):242-8)

・ステロイドはその後の2015年のSRでも重症例では総死亡をRR 0.39(0.20-0.77)に減らした.非重症例では有意差なし.(Annals of Internal Medicine2015;163:519)

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